【ご質問】
被害者側にも過失のある案件でも、弁護士に依頼するメリットはありますか？
【ご回答】
もちろん、あります。
弁護士費用特約に加入しているようであれば、弁護士費用特約を利用しての依頼をご検討ください。
弁護士に依頼するメリット
交通事故の被害者が弁護士に依頼するメリットはいくつかありますが、やはり、損害賠償金の増額可能性という点が大きいでしょう。
弁護士に依頼せず、自分で加害者や加害者の保険会社と交渉することも可能でしょうが、加害者の保険会社からは、「任意保険基準」というものを提示されるおそれがあります。
任意保険基準というのは、あくまでも、保険会社の内部基準に過ぎませんので、交通事故の被害者はそれに拘束されません。
ただ、
「弁護士基準（裁判基準）で賠償金を払ってください」
と自分で交渉しても、保険会社からは、
「裁判基準ではお支払いできません。どうしてもというのであれば、どうぞ、裁判でも起こされてください」
と、足元を見た交渉がされるおそれがあります。
弁護士は、裁判をするのが仕事ですので（もちろん、訴訟以外の仕事も色々できますが）、こういった足元を見た交渉をするようなら、訴訟を起こして、正当な金額を勝ち取ることもできますし、そもそも、保険会社としても、裁判を起こされることを警戒して、交渉に柔軟に応じてくれる可能性があります。
このように、弁護士基準（裁判基準）で交渉していく強みを持っている弁護士に依頼することにより、示談金額は増額される可能性があることは、大きなメリットといえるでしょう。
保険会社の示談代行とどっちが良いの？
交通事故の被害者が任意保険に加入していると、自身の保険会社が、「我々のほうで示談代行をしましょうか」、と提案してくることがあります（被害者側に過失がある案件のみ）。
これは、「自分の」保険会社が、被害者の代わりに、相手方と示談交渉をするというものです。
弁護士に依頼してしまうと、弁護士費用がかかってしまうのに対し、示談代行であれば、このような費用はかかりません。
すると、弁護士費用分だけメリットがあるかのように見えます。
しかしながら、示談代行で任せた保険会社が、弁護士と同等の交渉をしてくれるか、というと多少の疑問があります。
というのも、保険会社に経済的メリットがないものの、被害者には経済的メリットがある項目（たとえば慰謝料の金額）があります。
もらえる慰謝料がいくらになろうが、保険会社の得はありませんので、慰謝料を増額するためなら、裁判も辞さない、という態度で交渉してくれるかというと、疑問があります。
このほか、示談代行は、あくまでも被害者に過失があること（いくらかの損害賠償義務があり、保険会社がそれを支払う義務があること）を前提にした制度ですので、無過失を主張していくことは困難、という点にも注意が必要です。
弁護士費用特約があれば、依頼のご検討を
弁護士費用特約は、「過失がない事故では示談代行はできませんので」と言われて、加入することが通常でしょう。
すると、弁護士費用特約は、過失のある事故では使えないのか、と思われるかもしれませんが、そうとは限りません。
弁護士費用特約は、一般的に、無過失の事故はもちろん、被害者に過失のある事故でも利用できることができます。
弁護士費用特約を利用すれば、弁護士費用の全部または一部を保険会社が支払ってくれますので、弁護士に依頼するデメリットを緩和もしくは回避できるでしょう。