※解決事例のご紹介は、有利な結果をもたらすことを保証するものではありません。同じような交通事故事件でも、弁護士が介入して増額に成功するケースもあれば、減額されるケースもありえます。ケースに応じた見通しをお伝えさせていただきますので、交通事故は弁護士にご相談ください。
今回の交通事故案件の概要
物損事故の解決事例のご紹介です。
四輪車同士の接触事故となります。
片側2車線以上の道路を直進走行していたところ、隣接する車線を走行していた車両が車線変更をしてきたところ、被害者の車両に接触したという事案です。
幸い、両者ともに怪我はありませんでしたが、過失割合について、加害者側の損保会社が30:70を主張したものの、それに納得がいかなかったため、アウル東京法律事務所にご依頼されました。
最終的には、20:80の過失割合での和解となりました。
弁護士介入後のポイント~過失割合~
今回のような、四輪車同士の交通事故のうち、車線変更については、判タ【153】が参考になると思われます(ちなみに、全訂5版を用いています)。
判タ【153】では、過失の基本割合が30:70となっています。
修正要素もありえますが、今回の事件では、双方に異論なく使えそうな修正要素はありませんでした。
そこで、今回の事故については、判タが想定しているような交通事故とは違う類型であること、判タは参考にはなるものの、それが想定しているような事故よりも加害者の違反の程度が大きいので、基本割合となる30:70より有利に修正されるべきである、と主張しました。
その一つとして、道路が渋滞中であったことをあげられます。
判タ【153】は、実は、適法に車線変更をした場合を想定しています。
渋滞車列への割込みは、道路交通法32条に違反するものですが、判タ【153】は、このような渋滞車列への割込み(道交法32条違反)を想定したものではないのです(判タ290頁をご参照ください)。
適法な車線変更をした結果、接触した場合の過失割合が30:70であれば、違法な車線変更をしたような場合には、より加害者側の過失が重くなるはずです。
この点を主張し、最終的には、20:80で和解となりました。
判タは、交通事故の過失割合を決めるに当たって非常に便利であり、また、見やすく、使いやすい配慮がされています。
しかしながら、ただ単に判タの図だけを見て判断するのは危険です。
判タに掲載されている交通事故類型には、それが想定している事故類型があり、そこからずれるような場合もあります。
解説部分もきちんと見て、主張を組み立てていく必要があるでしょう。