【ご質問】
SLRテストとは何ですか?
【ご回答】
下肢伸展挙上テストのことです。
SLRテストは、Straight Leg Raising Testの略です。
腰部神経(坐骨神経)の神経根症状誘発テストの一種で、陽性反応が出た場合には、後遺障害を立証する上で有意な資料となると考えられます。
SLRテストの実施方法
SLRテストは、簡単に解説すると、以下のようにして実施します。
なお、SLRテストは医師にお願いして実施するようにしてください。医師以外の人物が実施したSLRテストの結果は、たとえ陽性反応が出ても、信用性が低いものと考えられますし、安全上の問題もあります。
まず、患者が仰向けに寝転がります。
続いて、検者(医師)が患者の足を伸ばしたまま(伸展)、上に持ち上げていきます(挙上)。
床面からどの程度まで上がるのか、その角度によって判断します。
正常な場合には、70度程度まで上がりますが、坐骨神経に障害がある場合には、痛みのため、足があまり上がりません。
椎間板ヘルニアがある方の場合は、30度も上がらないこともあるようです(栗宇一樹・古笛恵子編『交通事故におけるむち打ち損傷問題 第二版』54頁参照)。
なぜ、SLRテストを実施するのか
なぜ、SLRテストを実施するのでしょうか。
答えは、後遺障害を立証するためにあります。
むち打ちや腰椎捻挫・腰部打撲と診断された方のうち、腰に痛みが残ったり、足に痛み・しびれが残ることがあります。
このような痛みやしびれは、あくまで自覚症状なので、外から見ただけではわかりません。
また、痛みやしびれの存在を立証する、完ぺきな検査方法も存在しません。
そこで、痛みやしびれが存在するか否かを各種検査を用いて立証していく必要があります。
SLRテストもその一つです。
SLRテストで異常な反応(たとえば、片方の足だけ30度も上がらない)がでたからといって、それだけで後遺症が認定されるものではありませんが、後遺症を立証していく上で有意な資料にはなりえます。
他の腰部神経誘発テスト
腰の神経の誘発テストはSLRテストだけではありません。
SLRテストのほか、坐骨神経については、ラセーグテストが、大腿神経についてはFNSテストが考えられますので、腰の痛みや足の痛み・しびれがある方は、医師と相談の上、実施されてはいかがでしょうか。