交通事故損害賠償の知識

  1. 交通事故の弁護士相談「アウル東京法律事務所」
  2. 交通事故 損害賠償の知識
  3. 加害者に対して請求できるもの
  4. 休業損害

加害者に対して請求できるもの

休業損害


交通事故の被害にあうと、仕事をお休みする必要が生じる場合があります。
このような休業損害についても損害賠償請求可能ですが、一口に休業損害といっても、有職者か無職者かによっても、請求方法がかわってきますので、注意必要です。
また、後遺症が残ったために今後仕事をできなくなった(または支障が生じた)という場合には逸失利益の問題となりますので、逸失利益の解説ページをご覧ください。

休業損害の計算方法

休業損害の計算式自体は単純です。

1日あたりの基礎収入×休業日数

です。

給与所得者(会社員や公務員など)の休業損害

給与所得者の休業損害については、保険会社から手渡される休業損害証明書を、勤務先に記入してもらって請求するのが一般的です。
比較的争いなることが少ない休業損害です。


1日あたりの基礎収入は、過去3か月間の給与(社会保険料や所得税は差し引く前の金額)を90で割って計算するのが一般的です。
もっとも、90で割ってしまうと、土日含まれることになってしまいます。
入院中の休業損害は土日を含んでも良いでしょうが、通院中は稼働合計日数をもとに算出することも考えられます。

有給を使った場合には、その分も休業損害として請求可能と考えられます。
また、仕事を休んだことによってボーナス(賞与)が減らされたりしたような場合も立証が必要ですが、減額分の請求が可能でしょう。

自営業者の休業損害

個人事業主の休業損害については、事故の前年の確定申告書をもとに算出するのが一般的です。
白色申告の場合は、収支内訳書の売上から売上原価、経費、専従者控除などを差し引いた後の所得金額を基礎収入とします。
青色申告の場合は、青色申告決算書の売上から、同様に、売上原価、経費、専従者給与などを差し引いた後の金額を基礎収入とします。
(※ただし、賃料や従業員給与、減価償却費などの固定経費は差し引かない)

自営業者の休業損害を請求する際、確定申告書の申告額と実際の収入額が相違していることがあります。
(つまりは、確定申告の際には収入を少なく申告している)
言い分は分かるのですが、このような申告外収入については、裁判所は非常に厳しく判断する傾向にあります。
(つまり、確定申告の際に申告していないような収入があると主張・立証しても、簡単には認定されない)

確定申告の所得額がかなり少なく、これを相当上回る収入を得ていたことがうかがわれる場合には、賃金センサスを用いた裁判例もあります。

主婦(家事従事者)の休業損害

専業主婦・兼業主婦のような家事従事者の休業損害は、とくに気を付けるべきでしょう。
家事従事者の休業損害は、賃金センサスを用いて計算されるのが一般的です。
保険会社は通常、1日5700円という金額を提示してくることが多いですが、これは自賠責の基準です。

裁判基準では、もっと高額になる可能性がありますので、保険会社の「任意保険基準」を鵜呑みにしないよう、注意が必要です。
くわしくは、示談をする際の3つの注意点のページで解説していますのでご覧ください。

失業者の休業損害

たまたま交通事故にあった当時、失業していた人は、休業損害をもらえないのでしょうか。
いいえ、そうとは限りません。
(1)労働能力と(2)失業意欲があり、(3)就労の蓋然性が認められるような場合には、事故にさえあわなければ、収入を得られていたはずです。
交通事故にあったがために労働の機会を奪われているといえますので、この3つの要件が立証できれば、休業損害も請求できる可能性があります。

この場合の基礎収入は、賃金センサスの平均賃金を基準としますが、若干、下回ることになる事例が多いようです。


トップへ戻る