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2016.07.08交通事故について死亡事故の場合には近親者固有の慰謝料にも注意


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死亡事故の場合の慰謝料は大きく分けて2種類ある


さて、今回も死亡事故における慰謝料の解説です。

交通事故で人が死亡した場合、遺族は加害者に対して慰謝料を請求できますが、この慰謝料には大きく分けて2種類あるので注意が必要です。

一種類目の慰謝料は死亡した人本人の慰謝料請求権です。

交通事故で死亡した人は、死亡という想像を絶する苦痛を被っていますので、慰謝料の請求ができます。

もっとも、本人は死亡していますので、本人の慰謝料請求権を行使できるのはその相続人ということになります。

慰謝料請求権は相続される。

つまり、相続放棄をすると慰謝料請求権も放棄することになってしまいますので注意が必要です。

病死等ではなく、第三者の行為によって生命を侵害された場合には、慰謝料請求権の相続を考えたうえで相続放棄をするかどうかの判断が必要といえるでしょう。

二種類目の慰謝料は近親者固有の慰謝料です。

死亡事故においては、死亡という苦痛を被ることになった本人はもちろん、残された遺族も重大な精神的な損害を被っています。

そのため、民法711条は「他人の生命を侵害した者は、被害者の父母、配偶者及び子に対しては、その財産権が侵害されなかった場合においても、損害の賠償をしなければならない。」として死亡した本人以外にも、近親者に固有の慰謝料請求権を認めているのです。

交通事故の加害者に対して慰謝料等を請求する際には、遺族のうち一人だけが請求するのではなく、民法711条で固有の慰謝料請求権が認められている遺族もきちんと慰謝料を請求することが重要といえます。


赤い本の死亡事故慰謝料基準は近親者慰謝料も含んでいる


赤い本では、死亡慰謝料の目安を示していますが、これは被害者本人の慰謝料と近親者の固有の慰謝料を合算したものです。

死亡慰謝料は具体的な事情によってかなり増減があり得るので、たとえば一家の支柱が死亡した場合に、本人の慰謝料が2800万円で、それに近親者固有の慰謝料を合算していく方法で請求していくことも間違いではありませんが、赤い本の目安は近親者固有の慰謝料も含んでいるという意識は必要でしょう。


相続放棄した場合も近親者固有の慰謝料は請求できる


前述のように、本人の慰謝料請求権は相続放棄すると請求できなくなってしまいますが、近親者固有の慰謝料請求権は相続の文字通り、近親者固有のものです。

そのため、相続放棄した場合も近親者固有の慰謝料請求権は行使可能です。

相続放棄してしまったから慰謝料はもう一切請求できないんだ、と勘違いしてしまいがちなので注意が必要です。


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