ブログ

  1. 交通事故の弁護士相談「アウル東京法律事務所」
  2. ブログ
  3. 交通事故について
  4. 交通事故事件における弁護士の役割その7~訴訟~

アウル東京法律事務所に所属する弁護士等のブログです。交通事故に関することや事務所全般のお知らせ等があります。

2015.04.23交通事故について交通事故事件における弁護士の役割その7~訴訟~


まとめると


・話合いでの解決が難しい場合には、訴訟という手もある

・日本では、弁護士を代理人に立てなくても訴訟をすることは不可能ではないが、おすすめできない

・訴訟をしたからといって、自動的に判決までいくわけではなく、和解で終了することもある

・交渉やADRでの解決をはかる場合でも、訴訟になった場合の帰趨は予測しながら進めるべき


overview.jpg


話合い等で解決できない場合の最終手段~訴訟~


交通事故について弁護士に依頼したからと言って、必ずしも訴訟というわけではなく、交渉による解決ADRを利用した解決方法がある、とこれまで説明してきました。

ただ、交渉やADRで満足がいく結果が出るとは限りません。

とくに、交通事故の加害者が任意保険に加入していないようなケースでは、訴訟をしないとまったく話にならないというケースもあるでしょう。

また、交通事故の加害者側から訴訟を起こしてくるというケースもあります(債務不存在確認訴訟といって、●●万円までは支払義務があるが、それ以上の損害賠償金の支払義務がないことの確認を求めるといったような訴訟を提起してくることがあります)。

このように、解決の場を訴訟に移さざるを得なくなるケースもあります。


日本の民事訴訟制度においては、弁護士強制主義はとられていないけど


訴訟というと、弁護士を思い浮かべる方が多いでしょう。

これは間違いではありません。

しかしながら、弁護士に依頼しないと訴訟ができないかというと、これもノーです。

日本では弁護士強制主義はとられていませんので、弁護士に依頼せず、自分一人で訴訟を起こすこと(本人訴訟といいます)は不可能ではありません。

しかしながら、本人訴訟は非常に労力がかかるでしょうし、がんばって勉強して労力をかけても、弁護士に依頼していた場合に比べて、不利な立場に立たされる可能性が高いのではないでしょうか。

また、最初は本人訴訟で進めてみて、よくわからなくなったら、弁護士に依頼しよう、というのも危険です。

弁護士をつけたら、それで訴訟はリセットされるものではありません。

それまでの訴訟手続を踏まえた対応をせざるを得ないので、今更弁護士をいれてもどうしようもないということもあるでしょう(たとえば、気づかず、自分に不利益な事実を書いていたような場合)。

本人訴訟は不可能ではありませんが、おすすめはしません。

訴訟のような、高度な専門知識等が求められる手続をする場合には、専門家を頼るべきです。


訴訟になったら、自動的に判決まで行くわけではない


訴訟をするということは、何らかの譲れない点があることが多いでしょうが、訴訟=判決で一刀両断ということではありません。

訴訟中に、裁判官が、和解をすすめてくるのが一般的でしょう。

それまでの訴訟経過を踏まえて、結果(判決になった場合)を予測し、和解で解決するというのは、よくあることです。

訴訟になったら、白黒はっきりさせる、完全決着までいくかというと、そうとは限りません。

依頼している弁護士に、裁判官の態度等を見た上で結果を予測してもらい、敗訴のリスクが高そうであれば、譲歩して和解ということをしても良いでしょう(もっとも、敗訴リスクが高くなればなるほど、相手方としては、勝訴可能性が高くなります。相手方はカカシではありませんので、当然、勝訴可能性の高さを踏まえた強気な和解交渉をしてくるでしょうから注意してください)。


交渉での解決をはかる場合も、訴訟になった場合の予測は頭の中に入れておくべき


交通事故事件の解決方法は訴訟だけではありません。

アウル東京法律事務所では、交渉等での解決にも力を入れていますし、事実、交渉やADRで解決できる交通事故事件は多いです。

しかしながら、交渉やADRでの解決をはかる場合でも、常に訴訟になった場合は頭の中に入れておくべきです。

裁判官に認められやすいと考えられる主張については、強気で交渉できるでしょうし、逆に訴訟にした場合には弱いと考えられる主張については、ある程度の妥協も必要になることがあるでしょう(ほとんどのケースでは、それらが入り混じっています)。

交渉というのは、単に自分の意見を押し通すものではありません。

常に、訴訟になった場合の帰趨を見据えながら、自分の主張の強い点と弱い点とを踏まえながら、最大限の利益の獲得を目指すべきです(リスクとリターンのバランシング)。


トップへ戻る